惚れ薬
「例えば、あたしはこれは赤って言いながら黒い物を指さすでしょ。そしたらケンジも同じように赤だねって言う。そこまで忠実になるんだよ?」


初美の説明にあたしは首を傾げた。


薬の効果は確かにすごいと思うけれど、それが今どんな関係があるんだろう。


「そっか。この薬を遼太郎に飲ませて青花のシモベにしちゃえばいいんだ」


手を叩いてそう言ったのは真弥だった。


あたしは驚いて真弥を見つめる。


「あたしのシモベ……?」


「そうだよ。別に付き合う必要なんてない、ちょっと黙らせるために薬を使うんだよ」


真弥の言葉に初美がうんうんと頷いている。



あたしは2人の意見に驚きながら、遼太郎の席を見た。


遼太郎はトイレにでも行っているのか、教室内にいない。
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