惚れ薬
今日やることはもう決まっている。


あたしはまだ登校して来ていない宏樹の席を見た。


「昨日帰ってから考えたんだけどさ、男子の飲み物に薬を入れる時には遼太郎を使えばよくない?」


「遼太郎を?」


あたしは真弥へ聞き返した。


「うん。男子の席に近づいても違和感ないでしょ」


「でも、遼太郎が薬を入れたら、相手は遼太郎のシモベになるんだよね? それじゃあたしたちのシモベにはならない


そう言うと、真弥は「別にいいじゃん」と言い放った。


「遼太郎はもう初美のシモベなんだから、似たようなものだよ。クラス全員に薬を飲ませるなら手伝ってもらった方が早い」


そうかもしれないけれど、万が一遼太郎が裏切ったら?


そんな不安が浮かんでくる。
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