ジンクス
ようやく人ごみから抜け出してあたしはホッと息を吐き出した。


「ごめん。場所を考えてなかった」


冷静になった健が頭をかいてそう言った。


「そういうところも好きだよ」


あたしは振り向いてそう返事をした。


もう自分の気持ちを我慢する必要はないのだ。


あたしは健が好き。


ずっと前から好きだったんだから。


「ありがとう、ナツミ」


気が付けば、あたしは健の腕の中にいた。
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