ジンクス
そう言う健は冷たい視線をあたしへ向けている。


「もう昨日みたいなお弁当はやめてくれよ? 今日は期待してるからな」


その言葉に、あたしは思わず笑ってしまった。


健は杏が屋上から落ちたことよりも、お弁当の方が大切なのだ。


それほどまで、あたしにのめり込んでいるのだ。


「……作ってきてるよ」


あたしはそう言い、ほほ笑んだのだった。
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