ジンクス
あたしは首を傾げてそう聞いた。


それは健が人気者だからとか、そういう意味だろうか。


そう考えていたけれど、予想外の言葉が健の口から発せられた。


「俺、同性愛者なんだ」


一瞬、世界から音が消えた。


すべてがスローモーションのように見えて、真っ白な世界に染まる。


「え……?」


情けない声が自分の口から洩れた。


「男が好きなんだ」


健が恋人を作らない理由。


それが、ハッキリとした瞬間だった……。
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