あしたの星を待っている


【今、何してる?】

【宿題してました】

【花菜に会いたいな】

【私も先輩に会いたいです】

【模試が終わったら、デートしような】


楽しみです、と打ち、送信ボタンを押す前に溜息をひとつ。

私、本当に嘘ばっかりだな。

自分の気持ちを押し殺して、周りに良い顔ばかりして、波風立てないように嘘をついて、あげく瑠偉くんに八つ当たり。

何をやっているんだろう。

×マークを押して消し、代わりにおじぎしているクマのスタンプを返した。

先輩のこともちゃんと考えなきゃ。







「あれ」

「あー」


テーピングがきれたので、保健室に貰いに行こうとしてる途中。

廊下で黒沢さんと出くわした。

おはよう、じゃないし、バイバイでもないし、適当な挨拶が浮かばず笑って誤魔化していると、向こうから部活? と聞かれた。

黒沢さんは、補習があるらしい。


「前の学校と進み具合がちょっと違ってて、テストも受けてないから」

「そうなんだ、大変だね」

「そうでもないよ、ここの学校は厳しくないし自由で楽」

「聖ウィステリア女子だよね? 実は私、受けて落ちたんだ」

「そうなの?」


パチクリと、目を丸める。

本当、綺麗な子だなぁ。




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