あしたの星を待っている
【今、何してる?】
【宿題してました】
【花菜に会いたいな】
【私も先輩に会いたいです】
【模試が終わったら、デートしような】
楽しみです、と打ち、送信ボタンを押す前に溜息をひとつ。
私、本当に嘘ばっかりだな。
自分の気持ちを押し殺して、周りに良い顔ばかりして、波風立てないように嘘をついて、あげく瑠偉くんに八つ当たり。
何をやっているんだろう。
×マークを押して消し、代わりにおじぎしているクマのスタンプを返した。
先輩のこともちゃんと考えなきゃ。
*
「あれ」
「あー」
テーピングがきれたので、保健室に貰いに行こうとしてる途中。
廊下で黒沢さんと出くわした。
おはよう、じゃないし、バイバイでもないし、適当な挨拶が浮かばず笑って誤魔化していると、向こうから部活? と聞かれた。
黒沢さんは、補習があるらしい。
「前の学校と進み具合がちょっと違ってて、テストも受けてないから」
「そうなんだ、大変だね」
「そうでもないよ、ここの学校は厳しくないし自由で楽」
「聖ウィステリア女子だよね? 実は私、受けて落ちたんだ」
「そうなの?」
パチクリと、目を丸める。
本当、綺麗な子だなぁ。