愛は、つらぬく主義につき。
 あらゆるモノをうやむやに、誤魔化して帳尻合わせた一ツ橋本家主催の大宴会もつつがなく終了でき。
 参加賞として列席者全員にはちゃんと、用意した引き出物を配ってお帰りいただいたそう。

 お父さんや哲っちゃん達に挨拶して。お開きになった頃には酔いも醒めてた遊佐と一足先に、遊佐の家に二人で戻った。
 二ヵ月ちょっとぶりの“我が家”って感じで。里帰りした気分だった。


「宮子、風呂はいろ」

 離れてた時間が嘘だったみたいに。あたし達は自然にそうした。
 
 背中を流し合ってから温めのお湯に一緒に浸かる。
 遊佐の脚の間に収まり、後ろからお腹の辺りに両腕を回されて抱きすくめられ。肩に口付けされる。

「・・・・・・宮子」

「なに・・・?」

 肩口に埋まった遊佐の頭に、あたしもコツンと頭を寄せ、優しく問い返した。

「・・・正直オレは。ほんとにこれで良かったのかって思わなくもねーよ。情けねーけど」

 その言葉に一瞬、心臓が軋んで嫌な音を立てた。でも声は静かで。澱みが無かったから、信じて先を待つ。

「オレひとりじゃ宮子を守ってやれない。けどオマエを死んでも離したくない。・・・だから、これが正解なんだろ。オレ達の答え合わせは」

 一年前のあの約束。
 あんただけで答えを出さないでよ、って。悲しかったなすごく。

「仁兄や榊の手ェ借りて、何があってもオマエを守ってみせる。オレと一緒になってシアワセだったって、最期は笑って死なせてやるから。宮子の全部よこして・・・オレと結婚しな」


 ・・・・・・え・・・?

 なんのココロの準備もしてなかった。
 今のって。

 驚いて躰をよじり、遊佐を見上げる。
 真っ直ぐな眼があたしを貫いて。
 

 それが遊佐からの初めてのプロポーズだった。

 飛沫を立てて、ぎゅっと首に抱き付く。
 嬉しいなんて。そんなコトバじゃ、なにひとつ足りやしない。 
 
「・・・ッッ・・・、ゆ、さぁっっ」

 躰中から込み上げてくるものを抑えきれなくて。あたしは子供みたいに声を上げて泣いた。

 何度も遊佐の名前を呼んだ。その度に大きな掌が安心させるように、あたしの頭を掴まえては・・・撫でた。優しく・・・力強く。愛しさの限りに。




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