愛は、つらぬく主義につき。
 仁兄とも軽く挨拶を交わして去って行った相澤さんに、まだぼーっと見とれてるあたし。

「イケメンコンテストやったら、哲っちゃんと相澤さんで一騎打ちだねぇ」

「・・・ジジコンか、お前」

 隣りが呆れてた。
 そうだ。さっき仁兄、なんか言いかけたような。訊き返そうと思ったら。

「宮子!」

 榊に車椅子を押された遊佐がやっとあたしを見つけた。
 榊は普段と全く変わらない恰好だったけど、遊佐は久々にスーツ着てる。黒の上下に白のシャツ、細めの紫色のネクタイ。・・・カッコイイ。贔屓目でも。
 胸の中がキュっとなった。それを誤魔化すみたいに。

「遅ーいっ。何やってたの、もう!」

「拗ねンなよ、ちょっと野暮用。・・・仁兄がお守りしてたの?」

「成り行きだ。自分のモノは自分で面倒見ろ。俺は行くからな」

「わぁってるよ」

「仁兄またね?」

 立ち上がった仁兄は。手を振るあたしに一瞥をくれて、スッと人波に紛れてった。 

「遊佐、なんか食べる? 取ってこようか?」

「ん、テキトーで。あとビールな」

「わかった。榊も行こ」

 俺もか、みたいな仏頂面も当然気にしない。

 そのあとは三人でダラダラ食べて飲んで。
 どこからともなく聴こえて来る大っきな笑い声とか、顔繋ぎの挨拶だとかをBGMに、宴はまだまだ始まったばかり。

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