毒舌社長は甘い秘密を隠す

 てっきり、「なに?」って問いかけられるかと思ったけれど、プラネタリウムの上映中だからか彼はなにも言わない。
 だけど、ずっと私を見つめてくるから視線を逸らせなくなってしまった。

 満天の星が映りこむ社長の瞳は、見惚れてしまうほど綺麗。元の整った精悍な顔立ちと相まって、私の気持ちを容易く奪う。

 このタイミングでキスをされたら、きっと告白してしまいそうだ。
 その視線に、私が期待する気持ちが込められていたらいいのに。


 小さく微笑んでごまかし、視線を星空に戻して天井を仰ぎ見る。

 これからも社長といられたらいい。
 できたら、私が彼の特別で、他の誰も入り込む隙のない関係になりたい。

 恋心を星空に託し、そっと目をつぶってまぶたの裏で煌めく星に願う。

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