毒舌社長は甘い秘密を隠す

「っ!?」

 突然のことに視線を社長に戻す。
 私の右手が、優しく繋がれていて……。

 言葉なく、ただ見つめ合う。
 私の願いを見透かしたように、次々に叶えてくれる彼の心を知りたくなる。


 私は社長にとって、どんな存在ですか?

 特別だって思っても、笑ったりしませんか?

 私は、ずっと前からあなたのことが──。



「優羽」

 ギュッと締め付けられるような想いが、鼓動を急かす。

 そして、彼の温もりに包まれた手を少し引かれ、ふたりの距離が近付いた。

 キスを予感して、ドキドキする胸の奥と同じように瞳が揺れ、視界を覆う彼に心焦がれていく。

 私の気持ちが、全部伝わればいいのに……。


 だけど、彼は優しく微笑むだけで、また星空を仰ぎ見てしまった。

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