毒舌社長は甘い秘密を隠す

 彼に続いて、私も寝支度を整えた。
 食事を済ませたあとからは仕事モードになったようで、書斎に入ったまま出てきてくれない。


「先に寝ますね」
「あぁ、わかった」

 書斎のドアをノックしてから声をかけると、いつも通りの声色が返ってきた。

 もっと軽い感じで、帰りの車で聞けばよかった。
 さっき、プラネタリウムで手を繋いでくれたのはどうしてですか?って、会話の流れで言えなかったのが悔やまれる。
 なかなか寝付けなくて、広いベッドの中で何度も寝返りを打った。


 それから十分ほど経った頃、寝室のドアが開いた音がして、反射的にまぶたを閉じてしまった。


「……おやすみ」

 私が眠っていると思っているのか、隣に入ってきた彼が呟いた。

 話すなら今しかない。
 今日のお礼をもう一度言って、それから少しでも彼の心の中が分かるようなことを聞きだしたい。
 私を同居させている本当の理由があるなら、それも話してほしい。

 今までの三度のキスの意味も、聞かせてくれるかなぁ。


「社長?」

 そっと上体を起こして隣を見ると、早くも眠ってしまった彼の寝顔があった。 

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