毒舌社長は甘い秘密を隠す
「考えてみろ。君は口うるさく注意してくるけれど、君が食事を作ってくれたら俺の食生活も万全だ。それに、疲れた時にアルパではなく君を抱けば、体調を崩すこともない。なによりも、君自身が日々俺の体調を管理できるんだから、仕事に悪影響を及ぼすことはない。最善策だと思わないか?」
そう言いながら、彼は私のお腹のあたりで緩く両手を組んでいて離す様子はない。
断り文句を真剣に考えているのに、ドキドキする鼓動の音が大きくて邪魔をする。
「お、思いません」
「そうか。それなら、また今まで通りアルパたちと過ごす時間を作るだけのことだが」
「それは困ります!」
慌てて身体を反転させたら、満足げな微笑みが向けられた。
「今週末の間に、君の自宅から必要なものを移動させよう。足りないものがあればいくらでも用意してやる」
「でも、さすがに一緒に暮らすのは気が引けます」
「交渉成立だ」
見惚れていた微笑みは、仕事中に見せる策士の表情にすり替わり、騙されたと思ったけれど時すでに遅し。
あっさり解放されて、背中を向けた彼はキッチンを出ていった。