夢に手が届くまで
◇Fist Dream

どうにかしたくて、

「もーーーっ。ほんとに数学きらい〜〜」


「椛(いろは)、相変わらずだね」


友達の凪紗(なぎさ)が苦笑いを浮かべながら私の方を見る。


……なんで、わたしはここに居るんだろう。


数日前から何回自問自答したかわからない。

なんでわたしは、数学も理科も壊滅的なのに理数科にいるのだろうか。




「なんで理数科選んだのよ〜」

「だってぇ〜」



お弁当の中に入っているミートボールを箸で刺して口に入れる。


……冷たい。



「看護なら生物最後まで勉強しなきゃまずいかな、って。」


「化学も物理もできなくて、生物に逃げたんだもんね。」


「うっ……。」



痛いところつくなぁ、凪紗ったら。


まぁ、そうなんだけどね。



看護師になりたい!っていう気合となんとかなる!っていう訳の分からない自信だけを持ち合わせてここに来たわけで。


4月も始まったばかりだから、数学2Bも始まったばかりなのにもうついていけてない自分がいる。



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