桔梗の華 ~途中公開~
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瑞様の家に戻り擦りむいた傷を
手当してもらった

そこには何故か神威が寝そべっていた

「なんであんたここにいんのよ」

「嫌ならそこのババアにいいな、」

拗ねた顔で欠伸をする神威は
嫌な妖怪には思えなかった。


「これからどうするか…」

きゅっと腕の包帯を結んだ瑞様は
考え込むような顔して勾玉を見る

「それを俺に渡せばいいじゃねーか」

「ばかものめ、しかし翠子様の生まれ変わりの桔梗にはまだ力の使い方が分からぬから封印も出来まい。」

「あはは…」


ガタっと立ち上がった神威は
物凄い形相で私を見た。

「こいつが生まれ変わりだと?!」

なにこいつ。てか間違えてたくせに
鈍感すぎじゃない?!

「こいつじゃなくて桔梗って名前があるんですけど?」

「うるせー!俺は認めねーぞ、翠子のほうが賢そうな顔していた。全然似てねえ!」

な!こいつ!
ものすっごく腹立つんだけど!

「どうせ間違えたくせにのう」

瑞様の言葉にうっと図星を食らった神威は
怒りながら外に出ていった。


「瑞様…気になってたんだけど翠子様と神威の関係って?」


「そうじゃなあ……翠子様が生前の時はあやつも落ち着いてたんだが。詳しくは分からぬが何らかが起こったとしか…」


きっと私が夢見ていたのは
何かが2人に起こったあと…
神威の様子を見ているとそこまで
翠子様の事に憎しみは感じない。



「ところで桔梗…闇雲と言ったか。あの妖はまた勾玉を狙って襲ってくるやもしれぬ。闇雲だけじゃなく妖怪ならば勾玉の気配を嗅ぎつけて狙われるに違いない。」


体験してわかった
この勾玉はホンモノなんだと…
だからこそ恐怖が襲ってくる。
私はごく普通の高校生だったんだから


「どうすればいいのかな。」

「桔梗の故郷へ戻れば平和なんだろうだが…戻り方もわからぬからのぉ、」


この戦国時代にタイムスリップして
1日が経とうとしてるのにこんなにも
長く感じてしまう。

普通じゃありえないことが
自分の身に降り掛かってるのを
今は実感している。


「しばらくはあの神威といればよかろう」

「えー!あの妖怪感じ悪いもーん!」

瑞様…軽く言ってるけど
あの人と上手くやっていける気がしないよ
でもこの時代に慣れるためには
神威と仲良くしなきゃいけない


「はぁ…」

思わずため息がこぼれる。



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