桔梗の華 ~途中公開~
「な、なにこれ」


無残も荒れた畑に思わず吃驚した
人間技じゃない荒れ方に私は驚きを隠せないけど神威も村の人もこの目の前の景色を
やれやれと言った顔で受け止めている


「一体どんな妖怪の仕業なの…」

「おめー、一応巫女の力あるんじゃねーの?敵は土の中にいんぞ」

土?
神威が見据える方向に目をやると
モッコリと膨れ上がった土が
モゾモゾと動き始めた。

ひ!!なに?!

思わず後ずさりする


「おらっでてこいよっ!…っと」


隣から飛び跳ねて土目掛けて
鋭い爪を振りかざした神威
「いでええええええええ」


黒い影が物凄い早さで土の中から
出てきたのだ

え、泣いてる?
え、弱くね?


「なにすんだ半妖!オイラの縄張りだぞここは!」

大きなたんこぶを擦りながら
イタチの様な姿をした妖怪が現れた

よく見ると…可愛い…
見た目は7つくらい?

「雑魚がなにぬかしんてんだこら」

半ギレの神威が小さな妖怪の額を
グリグリと爪を押し当てる

「なにすんだ!っ」

「ねえねえ君ここの村をどうして荒らしたの?」

「なんじゃ人間、オイラはイタチ妖怪なんだから畑を荒らすのは当たり前じゃろ」

腕を組んで偉そうに
そんなのも分からんのかと冷めた目で見られる

「でもそんなことしてたら危ないよ?」

「オイラは強いんじゃ!」

んだごら!とまた神威に遊ばれ
泣きわめくイタチ妖怪にさすがの村の人も
対した妖怪じゃなくて良かったと退散していく


「ところで君名前は?」

「オイラは帆!」

「いずるくんね!村の人も困ってるんだからダメよ?」

「ふん!生きてくにはこーするしかないんじゃ」



悲しげな表情をする帆
きっとなにかあったのかな

「お母さんとお父さんは?」

「おかぁもおとぅもオイラの仲間達は恐ろしい妖怪に殺されたんじゃ」

「恐ろしい妖怪って闇雲か?」

神威が反応するって事は
闇雲との戦いが残ってるのだろう

「分からん、少し前に大量の妖怪と黒いモヤがオイラの村に現れたんじゃ。ちょうどオイラは川で魚を狩ってて…嫌な予感がして村へ帰ったら…おとぅもおかぁも…」

うっうっと泣き出した帆が
可哀想に思えてソッと抱きしめた。

こんな小さい体ですごく辛い思いしたんだ…

「おい桔梗」

神威が初めて名前を呼んでくれた事に
少し胸がドキっとした

「闇雲は金源の勾玉が復活するの知ってたんじゃねーのか?」

「うん、私も思った。あの大量の妖怪を連れてるんだもん、準備してたかのように思えた。」



帆の言う妖怪はきっと闇雲
それって私のせいでもあるよね…
私がここに来たから帆のご両親も…

「んな浮かない顔してんじゃねーよ、どうせ闇雲はまたお前のとこに来る。次は仕留めてやるよ」

「神威…」

真剣な顔の神威を見つめていると

「おいお前ら!!オイラの事忘れてないか!」

腕の中にいた帆はふくれっ面で騒いだ


「桔梗と言ったな。オイラ仇を取りたいんじゃ!だからオイラも連れてってくれ!」

帆の表情は何かを決めた顔で
断る理由は無かった。けど…

「だめだガキは引っ込んでろ」

「なんじゃとー!半妖のくせに!!」




この旅大丈夫かな??
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