桔梗の華 ~途中公開~
「旅の方…どうされたのですか?」
警戒している私たちに
穏やかな笑顔を向ける男の人
「聞きたいことがあって来たんです」
蘭丸の言葉にどうぞと家に招いてくれた
おかしい…この人から妖気が感じる
おじいちゃんの力もこの家の何処からか感じる。
油断できない
どうぞとお茶をくれる男の人
帆と蘭丸は子供の相手をしていた
凛丸も神威も警戒の顔を見せる
「そんな物騒な顔されては子供達も怯えますよ」
「あ、すいません…」
ニコリと笑うこの男の人から
邪気は感じられない。なのに
妖気は感じるのは何故だろうか
「わたくしの名前は伊助です。この子供達はこの山に捨てられた孤児です…1人で生きていけるように術を見つけようと面倒を見てるのです」
伊助の名乗る男は穏やかな顔で
蘭丸と帆と楽しそうに遊ぶ子供達を見る
「あの…なぜこの山頂で?」
「わたくしは幼子の頃からこの山で1人で生きてきたのです。下ったところに村があるのですがやはり、育ったとこだけにのけ者にされてしまって馴染めなくてね…」
悲しそうな顔してる伊助さんは
そんな悪い人じゃない気がする。
「おい」
さっきまで黙ってた神威が喋り出した
「お前が土地神の力を奪ったのか?」
「土地神?いえ、わたくしにはなんのことだがわかりません!」
神威が威嚇して聞いても
伊助さんの顔はほんとに知らないって表情で
「どうなってんだ~?」
凛丸も横で困惑していた。
「あの…伊助さんから微かに妖気を感じるんですけど。」
「妖気?わたくしは人間です!」
「でも…」
真剣に答える伊助さんは
ほんとに何も知らない様子