桔梗の華 ~途中公開~
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「ふ〜、万歳!これ気に入った!」

鋭い刀を手に持ちブンと振ると
激しい風が沸き起こり振った跡に
バキバキと鋭い風の刃が飛び交う

「あー!ばかたれー!ワシの縄張りを壊す気かー!」



怒りを露わにするこの老人は
妖狼族でも有名な刀職人___万歳バンサイ____

桔梗達と一緒にいた時に万歳の事を
思い出した神威はすぐに跳びかけて
万歳の縄張りへと来た。


腑抜けた面をした老人はポリポリと頭を掻きながら刀を手に取って喜ぶ神威を見つめる


なんじゃー、滅多にここに寄り付かんのに
ワシに俺の刀を作れと言ってきたこいつ

余程の自体か何かなのか
何年ぶりじゃろか、あやつがワシに頼るのは

半端もんと仲間に言われてここを飛び出した
此奴を守ってやれんかったからの〜

あの手のつけられないガキ大将がこんな
感情を露わにするなんてどうしたものか〜


「よお、万歳!この刀の名前はなんてんだ?」

「お、おぉーそれは風を纏って砕く刀で、<風砕牙>じゃよ」


風砕牙…

「じゃがー、一応妖刀じゃからの〜」

ポリポリとまた頭をかいて鞘を取り出す
ほれ!と神威に鞘を投げる

「お前は半妖じゃから使いこなせるかどーか〜」

「俺は強くならないといけねんだよ」

鞘に刀を差し込んで握った拳を見つめる
半妖とか関係ねえ、ただ強くなって
あいつを守んねーといけねんだ!

「あー、なんじゃーよくわからんが頑張れよ〜!」

「おう!万歳のじじい!ありがとな!」


ぴゅーんと駆け抜けてこの場から去る神威を
頭を掻きながら見送る万歳

「ま、あの刀は神威、お前の為に作ったからの〜最初から用意してたわいっ」

本人がいないとこでボソッと呟く万歳


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