桔梗の華 ~途中公開~

瑞様との再開



柏埜山の一件から数日立って
何とか私も浄化の力を扱う事ができた。

邪悪な妖怪を神威達が倒して
その妖気を浄化させて…
もちろん切実な想いを込めて。


帆も相変わらず妖怪が現れた時は
こっそり物陰に隠れるけど
それでいいの。それが私たち


神威もいつも通り私の隣にいてくれる
側にいてくれるだけで安心する
そんな私たちを凛丸は見守ってる事も知らず



「ねえ!村が見えるわ!」

ずっと山を登ったり降りたりしてたから
久しぶりに村を見つけて気分も上がる!

早速村に入ると凛丸と蘭丸は退治屋の仕事が無いか聞き込みをしてくると別れた。
私と神威で宿で待つことになったんだけど…


「ねえ、」

「あー?」

寝っ転がる神威に苛つく
久しぶりの2人なのに…

「神威はさ、私の事守りたいって言ったわよね」

「な、なんだよいきなり」

慌てて起き上がる神威に思わず笑う

「じゃ、その、私の事…」

好きなの?
って聞くに聞けない!
やっぱり恥ずかしい!
でもはっきりさせたい!

「な、なんだよ…」

語尾が小さく神威も赤くなり
見つめ合う私たち

段々にお互いの顔が近づく……


あ、キスするんだわ。

神威の目が閉じ…あと数センチで…

「なんじゃ、いつの間にそんな関係になったんじゃ?」


「きゃー!!!!」

いきなりの声に思わず神威にビンタをしてしまった。
「このやろ…」
ヒリヒリとする頬を摩る神威

ん?あれ?聞いたことある声…


声のする方を見るとそこに瑞様がいた。

「え!瑞様どうしてここに?」

久しぶりに会えた瑞様に嬉しかった

「ちとこの村に呼ばれてな。ワシの村にしか生えぬ薬草を届けにな。」

「そうなんだー!」

「っけ、おっちんだかと思ってたぜ」

不貞腐れる神威は瑞様に当たり出す

「いや〜良かった!お主らの事が気掛かりでな!仲睦まじくしておるなら良かったわ」

「な、仲良くなんて…」

さっきの神威とのキス寸前を思い出して
赤くなる。

「ほうほう、若いってええの〜。」

「うるせーばばあ!」

チッと小窓から飛び出す神威
あやつはまだまだじゃな〜と
瑞様は私が用意したお茶を啜る

「ところで桔梗、力は使えるようになったのか?」
「はい!柏埜山に行ってきて。埜鶴子様に助けてもらいました!」

「埜鶴子殿か?…あの人は気難しい故大変じゃったろ?」

「いえ、とても優しくしてくれました!」

嬉しそうに笑う桔梗を見て瑞は内心驚いてた
あんなに気分屋で、少し気に食わないと誰だろうと縛り上げる御方が……

「怒ると怖いじゃろ?」

「怒った様子を見てませんよ?」

なんと!
ワシが若い時は動作1つで冷酷な笑みを
醸し出した御方が!

「そうか、気に召されたのだな。ほう」

「?」

「他になにか分かったか?」

「あ、そう言えば…この勾玉が私の力を封じてたみたいです。」

胸元に光る金源の勾玉を手の平に置き見せる

「ほう、勾玉が…」

「私ならこの勾玉を消滅できると埜鶴子様は言ってました。ただ、私の力の本質が分かった時って…」

「本質?ほう。」


それはきっと近いであろうな。
神威次第じゃがな…
じゃが、その本質を知る前に
桔梗、おぬしは苦しむぞ。

お茶を啜りながら桔梗の旅の話を
静かに聞いてくれる瑞様
そんな他愛も無い時間はあっという間だった


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