愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


それでも、好きだと言ってくれたことは嬉しかった。
私が藤堂先生を忘れるために心さんの気持ちを利用したことをわかってて、側に居てくれようとした。
その気持ちがとても嬉しかった。


「さて、真紀。これで俺と里桜ちゃんは別れて元に戻ったよ。今度は真紀がきちんと話す番だ」
「わかってる」


藤堂先生が頷くと心さんは立ち上がって玄関へ向かった。
それを追いかけようとすると、藤堂先生に手を引かれる。しかし、今度ばかりはそれを振りほどかせてもらった。


「心さん」
「里桜ちゃん、ちゃんと話しなよ。里桜ちゃんはひとりで勘違いしている所があるから」
「勘違い?」
「そう。俺は君より真紀をよく知っている。なにかすれ違っていることはすぐに気付いていたんだ。でも黙ってそれ、を利用しようとしたから、そこはお互い様だね」
「心さん、ごめんなさい……。私……」


謝りながらどう声をかけたらいいかわからず、口ごもると頭を優しく撫でられた。


「また三人でご飯行こうよ。流し素麺パーティーでもする?」
「それはどこでやるつもりだ?」


私の後ろから現れた藤堂先生が苦笑しながら聞くと、「もちろん真紀んちでだよ」と心さんは大笑いしながら帰っていった。





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