愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


救急車でも呼ぶべきだろうか。しかし、そこまで大事かどうかもわからない。
常に健康体で、こうした救急の事態に備えたことがないためとっさの判断が取れないでいた。


「私、引っ越して来たばかりでここら辺、よくわからなくて……。病院はここしか知らなくて……」
「私も土地勘がなくて……。どうしよう……」


母親がぽろぽろと泣き出したのを見て、とりあえずは専門家を呼ぼうと身体が動いた。


「待ってて! 藤堂先生、呼んでくる!」


そう母親に告げ、私はダッシュでマンションへと駆けていった。
休みの日だからもしかしたら先生はいないかもしれない。そもそも、休診日にこんなことしてはいけないのかもしれない。他にも調べれば方法はいくらでもあったはずだ。
でも、でも!

自分の部屋の前に荷物を放り投げ、先生の部屋のインターホンを何度も鳴らす。


「先生! 藤堂先生、居ますか!? 朝比奈です! 藤堂先生!」


インターホンを鳴らしながらドアをドンドンと叩く。すると扉は以外にもすぐに開いた。
中からはジーパンに白いTシャツにグレーのカーディガンを羽織ったラフな姿の藤堂先生が現れた。


「朝比奈? どうした?」





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