愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


咎めるわけでもなく嫌味を言うわけでもなく、どちらかと言うと面白がるような声色で鈴木主任は聞いてくるところから大方、私のイライラについては察しがついているのだろう。
この人も人が悪い。


「鈴木主任、楽しんでいません?」
「だって、朝比奈がイライラするところなんて珍しいし。仕事大好き人間がさ」


仕事大好きには否定しない。確かに、疲れた姿は見せたことがあってもあからさまにイライラしたところは見せないようにしていた。というか、それが働く上では当たり前だろう。
イライラしながら仕事をしている人なんて、周りの迷惑にしかならない。
だから無意識とはいえ、今日の自分の態度には反省しているところだ。


「すみませんでした……」
「いいのよ。みんなも気にしていないわ。で? 何があったのよ」


サラダを食べ終えて、次に運ばれてきたパスタを突っつきながらため息を漏らした。


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