愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


「イライラしていた自覚は少なかったんですけど、でもモヤモヤしているっていうか……」
「例の意識している彼のこと?」


そう言われて素直にコクンと頷く。


「別に付き合っている訳ではないのにキスされて、なのに普通で……。かと思ったら急に甘い雰囲気出してきて、でもそれは冗談、からかっただけみたいなことを言うんです」
「へぇ。話だけ聞くと、その人は朝比奈のことが好きっぽいけどね?」
「……そうなんでしょうか? そんな感じには見えないんです。だから余計にわけわからなくて」


藤堂先生が私を好きだという態度ならわかるけれど、どうにもからかわれているようにしか思えない。
昨日だって反応が面白いから、という感じだった。


「ねぇ? 朝比奈。世の中には付き合いはじめてから全てが始まる人達ばかりじゃないのよ? オーソドックスにスタートする恋愛ばかりではないの」
「はい」
「その彼がどういうつもりで朝比奈にキスして意識させるのかわからないけど、私から見れば朝比奈はその彼が好きなんじゃないかしら」


鈴木主任はそういうが、そこがよくわからないのだ。





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