愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


「朝比奈は前にも違うと否定したけれど、その彼の態度にイライラしたりモヤモヤしたりして心を乱されている時点で、充分意識しているわ。それって、気になる人、好きになっている人、またはなりそうな人ってことじゃない?」
「好きに……なりそうな人?」
「そう。自覚はしていなくても、意識しているだけで好きになる確率が高い人ってこと」
「好きに……」


私、藤堂先生を好きになりかけているのか。
なんだろう。鈴木主任のその言葉が妙にストンと入ってきた。
藤堂先生を好きで意識しまくって、とかいうのはピンとこないけれど、好きになりかけているというのはしっくりきた。
だから、いちいちこうして気にしてしまうんだ。
なんでそんな子どもでもわかるようなことがわかってなかったんだろう。まるで恋愛初心者のようだ。


「朝比奈ってストレートな付き合いかたしかしてこなかったでしょう? お互いを好きになって、告白して付き合いだして、それからキスして身体の関係になってってやつ」
「よくお分かりで」


確かにその通りだった。お互いに意識しあっているのがわかって、すぐに付き合いだして……。だから大抵片想いとかの期間は短い方だった。だから、相手を完全に好きになる前に乱されると、自分の気持ちがぐちゃぐちゃになりわからなくなる。気持ちが迷子になってしまうのだ。今、まさにそれだ。


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