星降る夜空に祈りを込めて
そんなふうに過ごしながら、私はいつもこの島から空を見上げる。


私がここに移住したのは、綺麗な星空が見られるから……。


私の失くした大切な人達が見えるかななんて、そんな気持ちで眺める都会では見られないきれいな星空。
でもここ一年ちょっとは、悲しみよりはその星空に癒される様になった。


助産師の研修中から、度々この島に訪れていた。
資格を取ったら移住するべく、最後の半年程を研修しつつこの島に住むべく準備をした。


仕事も無いと困ると思いながら、移住準備で訪れた時に島の診療所を訪れる。


そうした時に出会った中嶋医師と奥様で看護師の先輩の梅乃さんには頭が上がらない。
こんな、まだまだひよっこの助産師を受け入れてくれるなんて。
まして、診療所でも月に数件なら受け入れようと分娩設備まで入れる様に市と市の医師会にも進言してくれた。


おかげで、この診療所は妊婦検診が受けられるようになり地域の離島にまでありがたがられるようになった。


人の多い都市部と違い、離島や過疎地域ではお産難民と言われる現象はまだまだあるのだ。


この島に来てから私が取り上げた子どもたちはもう数十人。
決して多くはないけれど、少なくもないと思っている。


取り上げた子がみんなすくすく元気に大きくなっている事が、今の私にとっての喜びで楽しみである。

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