星降る夜空に祈りを込めて

先生は私への気持ちも思いも隠さずに伝えてきた。
その言葉に気持ちに、心が揺れないわけがない。
私にとって、全ての初めての相手。
愛してやまなかった愛しい人は、私を今も愛しているという……。


それも、昔から今も変わらずだと言うのだ。
それが偽りではないのは、その目を見ればわかる。
そもそも、そんな話を中嶋先生達が見守るここで、言う事に本気具合も理解した。


それでも、私の疑念は晴れない。
だって、だってあの時のあなたには奥さんが居たのに。


そこを聞いてみないと、私も進めないと意を決して聞く。


「昔も今もって? 信じられない。だって貴方は結婚してて、離れて暮らしていたとは言っても、奥さんが居たのに」


俯きながら伝えた、私の嘘偽りない言葉。
それを知らずにのほほんと愛されてると思ってた私は、その事実に震えた。
私は他人様の家庭を壊すことをしていたのかと。
彼との関係は、それを知らなかったでは済まないと。
そこに重なった妊娠と流産は、私の心を更に苛んだのだから。
そして続いた両親の事故死。
苦しくて、どうにかなりそうでもなんとか気持ちを切り替えて今日まで進んできてのだ。


「そう、愛のない政略結婚の奥さんが居たな。佳苗が居なくなった頃に、離婚が成立した。離婚がきちんと成立したら、佳苗に俺の気持ちを伝えてプロポーズするつもりだった」


初めて聞いた内容に、驚いて顔を見上げた。


「この際だ、なんでも聞いてくれ。佳苗の気持ちを知りたい」
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