星降る夜空に祈りを込めて
その、真摯さは疑う方がおかしいくらいに真っ直ぐだった。
しかし、それでもここは中島先生のお家である。


「ここでする話でもないような、気がするけれど」


私は衝撃からようやっと戻り、ここは中嶋先生の家でお二人が居る事に意識が戻る。


「俺の情けなさもなにもかも、ここに来る前に中嶋先生には相談していて、話してある」


なんて事!
私と彼の関係を知っていたというの?!
驚きに目を見張れば、中島先生夫妻はにこやかに言った。


「佳苗ちゃん。ここで話しづらいなら、私達少し散歩に出るわ。二人でゆっくり話なさいね?」


そうして先生と梅乃さんはお茶を置くと、二人の家なのに静かに出て行った。


「佳苗。俺には確かに形だけ妻が居た。バツイチになる。そこはネックになるか?」


その問いに首を横に振る。


「そんなことは無いわ。でも、貴方に奥さんが居て、知らないうちに他人様の家庭を壊していた事。私は単なる愛人だったのだと思った時、目の前が真っ暗になった。デートらしいデートもしたことが無い、会うのも私の部屋だけだった。私は、貴方にとって都合のいい女だったのだと思って……」


そう、ポツポツと話すといつの間にか隣に来ていた彼に抱き締められる。


「ごめん! そんな風に思ってたから、俺は頼られなかったんだな。全部俺が悪い。俺が愛のない結婚で離婚すること、俺が愛しているのは佳苗一人だときちんと言葉にしていたなら、こんな事にはならなかったな」
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