一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
「やあ、宝来寺さん。またお会い出来て嬉しいです」
――こちらは、もう二度と顔を見たくなかった。
人当たりのいい笑顔と大げさなほど爽やかな口調が、人けのない公園とのコントラストで非常に不気味だ。
ひょろっとした男に追われて、女の行く先に着いていくようにして逃げた。
薄暗い公園に飛び込み、何とか撒けたか、と思ったとき、頭上で「ご苦労様」という嫌な声がした。
あぁ、俺は騙されたのだと、ようやく悟る。
「困っている女性と一緒に逃げてあげるなんて、あなたは本物の王子様なんですねぇ」
「……なんの用だよ」
「ちょっと、感想をお聞きしようと思いまして」
「僕からの、『プレゼント』」
「喜んでもらえました? なかなかの『サプラーイズ』だったでしょ?」
ククククと嬉しそうに、喉元を鳴らす。
事務所に届いた送信元不明のメール。
送信元は不明だったが、誰からのメールかすぐにわかった。
萩元雫をかばうように抱き締める、今日の夕方の俺の写真。
ご丁寧に、彼女を車に押し込んで走り去るところまで、連射で撮られたものが送られてきている。
続いて、自分の写真が普通じゃない破かれ方をしたり、何かの折に発売や配布した自分のグッズが悪意を持って壊されている写真。
それから……、萩元雫の、性行為中に撮影されたと思しき裸の写真。行為中の動画。
メールの本文は「返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ」の文字で、埋め尽くされていた。
「何がプレゼントだよ……頭おかしいだろ、あんた」
「おかしい? 僕が? どうして?」
「好きな女のあんな……俺だったら絶対他人には見せない。独り占めする」
「あぁ、気持ちはわかる」
女子高生が笑いながらノリで返すような、あまりに軽い同意だった。
「当然、彼女の体は独り占めしますよ。“僕の”だから」
「だけど、僕のだっていうことを他人に見せつけるには、とても良い手段だと思ってます。マーキングと一緒ですよ」
「……彼女自身も、あぁやって見せて教えてあげないと、記憶に残らないみたいですから」
殴ってやろうかと思った。
こいつの他には、女と、ひょろっちぃ男だけだ。
自分ひとりで何とかできる。
そう思っていた矢先、俺たちをヘッドライトがまぶしく照らした。
助けを呼べるか、と思ったのもつかの間、
「お待たせ~、いやぁ、結構走ったね~」
「え! マジで宝来寺伶じゃん! うっそほんもの!?」
体格のいい男が2人、増えた。
これは勝ち目がない、と本能が悟る。
「そこ、座らせて」
「おい、やめろっ」
「ハイハイ、静かにしてね~」
やってきたセダンのトランクを開け、俺を押さえ付けるようにして座らせると、あっという間に口にガムテープを巻かれ、ふさがれた。
手と脚にも……、やめろ、こんなにキツく巻かれたらうっ血して痕が残る。
持てる力を使って暴れたが抵抗むなしく、ちょんっと突き飛ばされて、トランクに寝転がされる。
まさか。
まさか……!
嫌な汗が、頬をつたう。
「すみませんね、この車5人乗りなもんで」
麻生はにっこりと笑って、冷酷にも、トランクリッドを下ろした。
――こちらは、もう二度と顔を見たくなかった。
人当たりのいい笑顔と大げさなほど爽やかな口調が、人けのない公園とのコントラストで非常に不気味だ。
ひょろっとした男に追われて、女の行く先に着いていくようにして逃げた。
薄暗い公園に飛び込み、何とか撒けたか、と思ったとき、頭上で「ご苦労様」という嫌な声がした。
あぁ、俺は騙されたのだと、ようやく悟る。
「困っている女性と一緒に逃げてあげるなんて、あなたは本物の王子様なんですねぇ」
「……なんの用だよ」
「ちょっと、感想をお聞きしようと思いまして」
「僕からの、『プレゼント』」
「喜んでもらえました? なかなかの『サプラーイズ』だったでしょ?」
ククククと嬉しそうに、喉元を鳴らす。
事務所に届いた送信元不明のメール。
送信元は不明だったが、誰からのメールかすぐにわかった。
萩元雫をかばうように抱き締める、今日の夕方の俺の写真。
ご丁寧に、彼女を車に押し込んで走り去るところまで、連射で撮られたものが送られてきている。
続いて、自分の写真が普通じゃない破かれ方をしたり、何かの折に発売や配布した自分のグッズが悪意を持って壊されている写真。
それから……、萩元雫の、性行為中に撮影されたと思しき裸の写真。行為中の動画。
メールの本文は「返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ」の文字で、埋め尽くされていた。
「何がプレゼントだよ……頭おかしいだろ、あんた」
「おかしい? 僕が? どうして?」
「好きな女のあんな……俺だったら絶対他人には見せない。独り占めする」
「あぁ、気持ちはわかる」
女子高生が笑いながらノリで返すような、あまりに軽い同意だった。
「当然、彼女の体は独り占めしますよ。“僕の”だから」
「だけど、僕のだっていうことを他人に見せつけるには、とても良い手段だと思ってます。マーキングと一緒ですよ」
「……彼女自身も、あぁやって見せて教えてあげないと、記憶に残らないみたいですから」
殴ってやろうかと思った。
こいつの他には、女と、ひょろっちぃ男だけだ。
自分ひとりで何とかできる。
そう思っていた矢先、俺たちをヘッドライトがまぶしく照らした。
助けを呼べるか、と思ったのもつかの間、
「お待たせ~、いやぁ、結構走ったね~」
「え! マジで宝来寺伶じゃん! うっそほんもの!?」
体格のいい男が2人、増えた。
これは勝ち目がない、と本能が悟る。
「そこ、座らせて」
「おい、やめろっ」
「ハイハイ、静かにしてね~」
やってきたセダンのトランクを開け、俺を押さえ付けるようにして座らせると、あっという間に口にガムテープを巻かれ、ふさがれた。
手と脚にも……、やめろ、こんなにキツく巻かれたらうっ血して痕が残る。
持てる力を使って暴れたが抵抗むなしく、ちょんっと突き飛ばされて、トランクに寝転がされる。
まさか。
まさか……!
嫌な汗が、頬をつたう。
「すみませんね、この車5人乗りなもんで」
麻生はにっこりと笑って、冷酷にも、トランクリッドを下ろした。