moon~満ちる日舞う少女~【下】
ふふ。動揺してる。…やっぱり亮は私と同じ世界の人間だ。
亮「…っ」
美「ねぇ、その感覚を知っているのにどうして月龍なの?」
亮「…俺は…助けてもらったんです」
美「助け?」
亮「誰もいない暗闇から、救ってくれた恩人が。…俺はその人に、大切なものを見つけろと言われました…。だから、ちょうど修也に誘われたとき…月龍に入ってみようと…。月龍が大切なものなればいいかなって」
なるほど。恩人か。…私でいう、愛斗さん…。
美「ねぇ、亮。月龍は大切なものになった?」
亮「…っ」
美「…いつか、大切なもの。できるといいね」
その言葉に驚いたのか亮はガバッと顔をあげた。
美「……私の大切なものはすくないけど、そこに香月が入ってる。…だから、亮…香月を頼んだよ」
亮はわかってる。闇が。…私と同じ。……だから今のことはきっと誰にも言わない。…言えない。
亮「…美月さんは…っ」
美「私は月龍と関わらないから、亮も私に関わらないでね」
私はそれだけ言うと鑑賞室をでていった。