私の失恋の行き着く先は…No.3
「父のところに子どもたちを預けていて、これから迎えに行かないといけなくて。ってことで、あとは先生、よろしくお願いします」
瞬時、嵌められたと悟った。
最初っからこういう算段だったのだ。
以前からこの厄介な人物、もとい専務に「恋人はいないのか。いなければ、誰か紹介しようか」と言われていた。
全く余計なお世話にも程がある。
仕事に追われ、しばらく恋愛とは無縁だったが、恋人が欲しいとか、ましてやその先の結婚だとかは考えたことがなかった。
良くも悪くもいろんな人間を見てきている俺は、ドロドロとした現実に触れすぎていたのかもしれない。
どうにも恋愛や結婚に夢を持てないでいた。