赤薔薇の騎士公爵は、孤独なカヴァネスに愛を誓う


「我慢しないで、私のすべてを奪って」

「――っ、完全に陥落させられたな。すまない、終わったら責任をもって甘やかすから、今は俺に奪われてくれ」


 その瞬間、いつもの余裕な表情など微塵も見せずに、スヴェンは激しくシェリーを愛した。

自分を揺さぶる彼の瞳には赤い情熱の炎が揺らめいて、野獣の本能のように心も体も深く求めてくる。


どちらの息遣いなのか、体温なのか、境界が曖昧になり気が遠くなったとき、耳元で「愛している」と囁かれた。


返事を返したかったのだが、蕩けきった体には力が入らず、彼の低く耳心地の良い声に誘われてシェリーは意識を手放した。


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