赤薔薇の騎士公爵は、孤独なカヴァネスに愛を誓う


「まったく、心配したじゃないか」


 声が聞こえてスヴェンから離れると、アルファスが側にやってきてわざとらしくため息をつく。


「あんなところで死ねませんよ。これからも国王を支えるという大事な役目が、俺にはありますから」

「そうだぞスヴェン。お前もシェリーも、ずっと僕の側にいてもらわなければ困る。僕の理想の国はひとりでは創れないんだからな」

「アルファス様の作る国は、きっと誰もが笑って生き生きとしている国なのでしょうね」


 クスッとシェリーが笑うと、スヴェンも同感だとばかりにうなづく。


「アルファス様の理想を追い求める姿はギュンター……前国王にそっくりだ。いつか俺の戦友になる日も近いですね」

「もう戦友だろう」

「それもそうですね」


 命かながら城を抜け出してきてから、恐ろしい思いを何度もした。だからこそ三人で笑い合っていれらることに幸せを感じて、シェリーは密かにひとしずく涙をこぼす。

 他にはなにもいらないから、この先もずっと愛する人の側にいられますようにと心の中で願った。



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