言い訳~blanc noir~
「それを聞いてどうなる?」


「絵理子から聞いた椎名さんと私が知ってる椎名さんがどうやっても結びつかないの。私と別れた後、何があったの?」


 勝気な瞳で真っ直ぐに見つめられた。和樹はゆっくりと瞬きを落とす。


「俺が何を話しても、くだらない言い訳にしかならないよ」


「言い訳でもいいわよ。せっかく大阪まで来たんだし、付き合ってあげる」


「相変わらず上から目線な女だね、美樹ちゃんは」


 そう? と髪を掻き上げる美樹の仕草が懐かしかった。


「俺は情けなくて、狡くて、最低なクズだよ。絵理子から聞いた俺が、俺だよ」


 美樹の視線から逃れるように目を逸らすと、ふっとクロを胸に抱いた沙織の姿がフラッシュバックした―――

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