恋?…私次第。~好きなのは私なんです~

「何言ってるか、解ってない顔ですね」

「うん」

「ハハ、…はぁ…。とにかく、俺の目的は終わりました。そのついでみたいに利用しないでください。
じゃあ、帰ります」

「あ、ちょっと。じゃあ、心配してくれて有り難う。おやすみなさい」

「…解らない人だな…」

「ん?」

「何でもないです。帰ります、おやすみなさい。あ、またどこかでばったり会ったら聞きます。聞いてあげます」

「あ、ちょっと」

帰っちゃった。もう…。何よ。…生意気~。どうして今は駄目なのよ。解らないのはそっちよ。何も慌てて帰らなくてもいいんじゃない?
…用があるのか、そうなのね。時間がなかったのかな。だったらそう言えばいいのに…。
でも、何かちょっと変だったかな。真面目な顔してたし。真面目な顔もするか、心配して来てくれたみたいだし。
…あ、慌てて帰ったから、名前、聞かなかった。それに、あっちだってあれだけ連絡先も知らないって言ってたくせに、何も聞かずに帰るなんて。
まあ、向こうはここを知ってる。…変なの。私の名字は何かで知ったのかな…。そうよね。え、そうなのかな。それも突っ込んで聞けなかったじゃない。

は、あ。別に何も知らなくても困りはしないって事だ。偶然会ったら話す相手だから。会うか会わないかは、運ってことかな。
また会ったら聞いてあげますって言ってた。そうそうこっちが悩んでいる時に会うとは限らないじゃないの。それに、それまで悩みを引き摺ってるかも解らないし。
会った時に悩みばかり話さなくてもいいんじゃないの?
関係性って言ってた。でも、関係性って、何も無いよね。
しいて言うなら、ただ偶然会う人、だ。
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