恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
・情熱のアラシ

一気に言われた事、考えたら熱が出そうだった。高守さんは帰って行った。
私は明確な返事が出来なかった。できる訳がない。

今まで普段から、恋とか、愛とか、考えてなかった。まして、その先の結婚は…。今の私には無縁のモノだったから。したいともしたくないとも、何も無かった。そんな生活を送っていたのだから。

高守さんは帰り際、大事な人となら結婚という形態にこだわらないと言った。それ以上の話は、大事な人になってから話す事だからって。…う゛~ん。


ブー。…。

また、鳴ってる。…はぁ…。ゴホ…、コホコホ。
高い熱はないと思う。とにかく怠い。身体は気持ちと連動してる。動けない。もうズルではない。微熱くらいはあると思う。
…寝よう。
布団を頭まで被った。

日曜の夜から動きたくなくなって、今日は会社を休んだ。
同僚に休むからって連絡をしたら、ただ、了解、伝えておくからね、と返信が来た。…楽で居させてくれる、普段から干渉はしない、こんな時…いい同僚だと認識してしまう。入社以降、分かり合えた同僚は有り難い存在だ。

もう夜よね。何か食べなきゃ余計弱っちゃうか。はぁ…面倒臭くて起きないなんて…。何が納得がいかないのか…。
昔からそうだ。大してデリケートな性格だとは思って無いし、メンタルが弱くて仕事を休んだ記憶も無い。
今の私は、多分、自分に嫌気がさしているからだ。
はっきりした言葉が言えない…好きともまだ言えない…そんな自分。はぁ。
こんな気持ちではこのまま引きこもってしまいそうだ。…大袈裟?…かも知れない。きっと明日には会社に行くだろう。

ブー。…。

そして、この、時間をおいて鳴り続ける携帯に出ないのも。…はぁ。見ようともしない。…きっと高守さんだから。
今は、何も話せる事がない。答えられる言葉が無い。


ブー。…。ま、た、鳴ってる。いい加減、呆れられてしまうな…。それも、こんな私も私だって、解ってもらった方がいいんだ。…その方がいい。


ピンポン。

…。

ピンポン。

…。

誰だか知らないが、私は只今、半分風邪、半分仮病中です。だから出ませんよ。いいでしょ?別に…。

カチャ。

…ん?

ゴトゴトいってる。靴、脱いだ?ゆっくり歩いて近づいてくる気配がする。

…ん?…ん?……ん゛ん゛?…ちょっと?

まさか…来たの?
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