私達の狂った歯車

第6章

ふりそそぐ朝日の光と甘い紅茶の香りで目が覚める。
「おはよ・・・」
「はい。おはようございます」
挨拶と共に淹れたての紅茶を渡される。
「今回の睡眠は・・・」

いつもどうりの朝。
でも、気になる。
昨日、羅音は叶夜にミルクティーをかけてすぐに自分の部屋へ戻ったし、叶夜からの連絡もない。
叶夜と喧嘩してしまった。
初めてだった。
叶夜と喧嘩する事も、人と喧嘩する事も。
どうしよう。
私はこれからどうしよう。
今まで喧嘩したことが無かったから、仲直りの仕方が分からない。

「・・・ねぇ」
「はい」
「んー。やっぱり何でもない」
「分かりました」
これ以上咲には迷惑をかけてはいられない。
自分で何とかしなければ。
「依恋様」
咲は私の名前を呼び、ベットの脇で跪いた。
「・・・何?」
私は顔を横に向け、咲を見る。

「僕は依恋様、貴女方の所有物にございます。幼少期の頃、あの方に手を差し伸べられ、拾われ、貴女方に仕えるよう言われた時からずっと・・・。貴女方が望むのであれば手となり、足となり、剣となりましょう。所有物の身分で差し出がましいさのですが、悩み事は1人で抱え込まないで下さい。悩み事があるのでしたら僕やご学友方にご相談くださいませ。僕は所詮貴女方の物、所有物にございます。・・・お嬢、依恋様、羅音様、そして・・・。あなた方4人の」

そうなのか。
咲は今まで自分の事をそう思ってきたのか。
でも、私にとって咲は所有物なんかじゃない。
一人の人間だ。
一人の信頼できる人間。
「あのね。・・・実は」
仲直りについて少し聞いてみよう。
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