人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
「すごい…流石メグさんです。魂を定着させてしまうだなんて…」

「魂だけなら簡単よ。東洋魔術の口寄せに似たようなものだもの。難しいのは肉体ごと蘇生させる事よ。これができたら神様と肩を並べられるわ」

聞き覚えのある声が、眠りの中にいる俺の耳に届いた。

「それに貴女の作った人形だからこそ、ここまで上手く定着させる事ができたのよ。流石は魔道の世界きっての人形師ね」

「いえ…私はこんな事しかできませんから…人形師としてはそこそこでも、魔女としては三流以下です」

もう一人の女の声は沈んでいた。

「…私が出張ってあげてもいいんだけど、残念ながら百禍を昇天させた時に行使した禁呪のダメージがまだ残っていてね…手助けできるのはここまでよ」

聞き覚えのある声の女が、衣擦れの音を立てる。

上着を羽織っているようだった。

「それじゃあ私はおいとまするわ」

軽い足音。

その足音が扉の前で止まり。

「……」

その女…稀代の魔女、四門メグは、眠ったままの俺の方に振り向いて言った。

「何かあれば力になるって言ってたけど…ごめんね時貞、成仏させて早々こんな形で召喚するなんて…」


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