人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
茶を淹れて戻ってきた蘭花は、俺の対面に腰掛けて話を始めた。

…『限定』の魔術によって、欧州を追放されるような形で日本にやってきた四門メグとは違い、天羽家の祖先は自らの選択で日本へとやってきた。

元々弱小な魔女の血族で、デッドゲイトの分家とはいえ、魔女としての実力は本家の足元にも及ばなかったのだという。

それでも様々な土地の魔術や魔道の技術を取り入れ、独自の魔道体系を編み出し、日本に住み着いた四門メグの協力も得て、天羽家は少しずつ魔道の世界でその名を知らしめていった。

…特にその名が知られるようになったのは、今の代。

『天羽三姉妹』と呼ばれる魔女の姉妹が生まれてからだ。

三人が三人とも、四門メグによって稽古をつけられた、高い技量を持つ魔女。

長女・蘭花は人形師。

人間と見紛うほどの精巧な人型を作り出す創造の魔女。

三女・桜花は典型的な魔女。

氷の魔術を得意とし、現在では相棒・人狼のジルコーを得て共に行動している。

そして…次女・菊花。

彼女は天羽家は勿論、デッドゲイトの血筋の中でも特異な魔女であった。

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