キミに嘘を吐く日
水族館がある駅までは5駅程。車内は空いていたから2人で向き合う形で座って外を眺めた。

車窓から見える景色は既に満開になっている桜並木が線路沿いにあって、ピンクのグラデーションがとてもキレイだった。


「いろはは、桜好き?」

「好き」

「じゃあ、春は好き?」

「四季の中で一番好き…だったんだけど、実は花粉症持ちだから少し前から苦手になった」

「俺も、春は苦手。出会いと別れの季節って言うじゃん?でも実際には別れの方が断然多い。皆んな新しい生活を始めるのを春にって考えるから、必ずその前に別れがあるんだ」

なんだか急にしんみりと話す宇野くんの表情を見て、なんだかとてもリアルな話をしているような気がしていた。

まるで、最近そんな別れを経験したかのような…。


「宇野くん…」

「あ、なんか急に暗い話したな、俺。今日はさ思いっきりいろはと楽しく遊ぼうって考えたんだぜ。だから暗いのはこれで終わり」

「う、うん」


水族館のある駅に着くまで、宇野くんは他愛のない話をした。

学校のこと、友達のこと。

そういえば、高田くんと宇野くんって友達なんだよね。伝言頼むくらいだし。


「宇野くんと高田くんって……」

「ん?あぁ、司(つかさ)は幼馴染なんだ。幼稚園時からの腐れ縁」

「そうなんだ。幼馴染で腐れ縁って、きっと他の誰よりも強い絆で結ばれてる相手かもしれないね」

「なに、それ。男同士だと気持ち悪りぃな」


ハハッと軽く笑いながらも、なんだか宇野くんは嬉しそうだった。

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