変わる想いを貴方に捧げる
☆☆9☆☆

···60過ぎの人に負けたの?


和真さんの部屋に着くと
和真さんは浴室に消えた。

シャワーを浴びて
ガウンに着替えると
私の座るソファーに来て
私の膝に頭を置いて
「30分だけ寝る」
と、言うから
「ベッドの方が、ゆったりできるのでは。
ちゃんと、時間になったら起こします。」
と、言ったが
「かまわん。」
と、言った。

言い合っている時間も
和真さんには、負担だろうと思い
そのまま黙ったが・・・

なんだか·····恥ずかしい・・
二重顎じゃないかな?とか
膝がゴツゴツしていないかな?とか
でも、一番は・・
私を心配してきてくれて
寝ていない。
ベッドにゆっくり寝て欲しかった。
はぁ~‥‥‥

「鈴音、なにを百面相している?」
「‥えっ、起きていたのですか?」
「いや、少し前に起きた。
ありがとう、熟睡できた。」
「本当・・ですか?
私が心配かけてしまったから。」
「ああ、膝にはりがあって
よい寝心地だった。」
「なっ、どうせ、ムチムチしてますよ。」
「あはは。俺は、そう思っていないが
そうなのか?」
「もぅ、知りません。」
「鈴音、怒るな。
今日は、仕事が終わったら
連絡をしなさい。
一緒に食事しよう。」
「はい。でも、早く帰って
寝た方が良いのでは。
寝ていないのだから。」
「そんな心配はいらない。
よくあることだ。」
「そんな·····」
「鈴音と一緒に食事をしていた方が
元気がでる。」
「‥‥‥もぅっ‥‥」
何を言っても、和真さんには勝てない。

その後、クリニックまで
送ってもらった。

クリニックで待ち構えていた
晶さんから
「60才過ぎてる婦人に負けたの?」
って、ひどく笑われた。
「だって・・綺麗な人だったん
ですもん。」
と、言うと
ますます、笑われてしまった。
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