ホワイトデーの約束
しばらくして、それぞれが自分達の話に夢中になり始めた頃だった。



「で、アイツはちゃんと彼氏やってんの?」


唐突なジロー先輩の質問に目を瞬かせる。


「俺、アイツから聞いてるから。二人が付き合い始めたこと」


そうだよね。仲が良かったんだから、先輩が話していてもおかしくないか。


「それで?」


ニヤニヤと答えを催促してくるジロー先輩の視線が気恥ずかしい。


「やってると、思いますよ・・・多分」
「多分?」


小さな声で言ったはずなのに、ジロー先輩にはちゃっかり拾われてしまった。


「あ、いや、その」
「何?何?悩みがあるなら話してみ。このジロー先輩が相談に乗って進ぜよう」


得意げに胸を叩くジロー先輩に笑いがこぼれる。

最初はごまかすつもりだったのに、ジロー先輩が持つ雰囲気のせいか、やっぱり誰かに聞いてほしかったのか、気づけばポツリ、ポツリと心の内をもらしていた。
< 8 / 22 >

この作品をシェア

pagetop