情熱的に愛して
「こちら1着ずつお願いします。」

「はい。」

いざという時、店員さんが助けてくれたお陰で、何なくピンチを乗り越えられた。

お客さんが帰った後、私は店員さんにお礼を言った。

「いえ。こちらこそ、ありがとうございました。」

逆に店員さんに、私は頭を下げられた。


「なんか、新人の頃を思い出しました。」

店員さんは、はぁーっと息を吐いた。

「あの頃は、お客さんに対して積極的に案内していたって言うか、もっと一生懸命だって言うか。」

そして店員さんは、近くにあった洋服を畳み始めた。

「でもなんだか、お客さんが求めているニーズに、合っていないって言うか、お客さんの方もプチプラだから、期待していないって言うか。」

そして店員さんは、口に手を当てた。
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