あっちじゃなくて、俺のほう向いて。
お兄ちゃんよりもずっと物腰柔らかなこの人は、佐伯芳樹[サエキ ヨシキ]くん。

お兄ちゃんの友達で今はもう家族同然の仲だ。

元々ひとり暮らしをしていたらしいけど

今は私の家の空き部屋に一緒に住んでいる。


「あれ、南美ちゃんじゃん。最近来てなかったよね。」

「あー、うん。お母さんの体調よくなくて家で看病してたから。」

「そっか。」

「まぁ、もう全然大丈夫なんだけどね。」


南美ちゃんは結構な人見知りだけど、私のお兄ちゃんと芳樹くんにはだいぶ慣れてきたみたいで

年上だけど友達みたいな感覚らしい。

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