甘やかして、私だけ

次の日*:*:~~




「じゃーん!」



目的地について、仕事帰り一緒に歩いてきた将くんに手を広げ紹介する





「ここは!あの!!居酒屋でーす!」





そうここは、二年前将くんが私を見つけてくれた場所



その時、私は全然知らなかったんだけど・・・





「さぁ、さぁ中へ…」



ぽけっとする将くんを店内へ押し込む





「いらっしゃい!お、あかねちゃんだ!」


「お久しぶりです!」




明るい店長の声と居酒屋独特のわいわいした空気


ほんっとに最高!!




最近は友子と杏奈とも来られてなかったし


自分が浮かれてるのがわかっちゃうな






「ちょっと~最近見ないと思ったらこんなイケメン連れてくるなんて!!」


パパ泣けちゃうとか、店長、いつから私のパパになったの…


席に着いた私たちをからかいにきた店長に肘でつつかれる



そんな店長を察し、律儀に挨拶をする将くん



「初めまして、三村将っていいます」


「将君ね、よろしく!
それにしても、あかねちゃんおてんばで大変でしょ?」




それにしてもって何!?



「もーここで愚痴ばっかり言ってべろべろになって帰る姿見てたら…もう…」


「ちょっと!店長、余計な事言わないでください!!」



そして、泣きまねをするな!


確かに、店長にはいろいろ迷惑かけてたかもしんないけど!!



「むぅ。」


「そんな怒んないでよ、嬉しいんだよあかねちゃんが幸せそうな顔してて」




幸せそうな顔?


私は、キョトンとしてふくれていた顔を元に戻す



「あかねちゃん美人さんになったね?」


そういって見せた店長の笑顔は、まさに



「店長、本当に私ののパパみたいじゃん!」



娘を見届けるお父さんみたいな顔やめてよ!



たしかに、地元に帰ってきながら心のよりどころがなかった私は


よくここに一人でもきてたっけ




この温かい場所に今日は将くんと来れてよかったな・・・



そう思い、私は前に座る将くんをこっそり盗み見た








< 111 / 169 >

この作品をシェア

pagetop