甘やかして、私だけ
*:~



「……んっ、んん?」


うぅ…ここは?なんか揺れてる?


眠気の中、うっすらと目を開ける・・・と、


「あ、起きました?」

「え?」

「俺のところに全然来てくれないな~と思ってたら、あかね先輩潰れてるんですもん」


ふふっと少し静かに笑ってる、この人は…



「八城君……。ん?…どうして?」


どうして、私は、八城君とタクシーに乗っているのだろう?

完全に寄りかかっていた体を起こし、考える。


たしか・・・。_



*:*:


「…友子がいなーい!!」

「先に帰ったよ、俺が送るから早く立てっ…」

「ちょっと待った!私、当麻と同じ方向だし、当麻の車乗ったことあるし…私を送るのが筋でしょ!!」

「何だよそれ…」


そんな、杏奈と当麻の会話を覚えてて……


そして・・・__



「それで、僕が送りますって言ったんです!」

「・・・。」



まじか・・・。



「…ゴメン。ほんっとゴメン!!」

「え?」


情けない…くだらないことで酒に飲まれて、結局後輩にまで迷惑かけてる・・・



「…ふふっ、気にしないでください。」

「え?」


なんだかとても楽しそうな八城君、


「いや、さっき、寒いかな~?って上着かけてあげたらクンクンって匂ったあとすり寄って…めっちゃかわいいかったなって!!」

「へっ……?」



なにその変態。。。


だけど、ぼぼぼっと顔が熱くなるのが分かる。


だって、だって・・・!!



「先輩…?照れてます??」

「い、いやっ?!」

「えーうそー。手めっちゃ暑いですよ??」


それは、酔っぱらってるだけで…照れては…って!!


「え?……はぁっ!?」


手と言われ見てみると、

自分の手ががっつり八城君の腕に触れてるのに気づき瞬間的に離す



「あーあー。離れちゃった~。寒いなー。」

「寒くないっ!いま夏!!」



ほんとにコイツは・・・。





ほんとに・・・・。






__こんな時に思い出すとか…






ほんとに…皮肉だ・・・・_




「あかね先輩、この橋で合ってます??」

「…ぁあ、うん。」



そう、この橋、今タクシーで渡ったこの橋でかけて貰ったジャケットと同じ・・・




変わらない橋からの景色を見ようと、少し動くと



やっぱり・・・。





自分にかけられてるジャケットが八城君の香水を匂わす・・・






それは_









将くんの昔の匂い・・・__







だからって、酔ってるからって、懐かしいからって……



後輩にすり寄るのは変態だよ、私。





「…あかね先輩もう着きますよ?」

「・・・。」

「え。また寝た?!」





チャラいけど、安心して、でも、なんか・・・



切ない香りだな…___














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