エリート上司の甘く危険な独占欲
「いつも……ありがとう」

 そう言いながら、華奈はほんの少し罪悪感を覚えた。華奈の朝食当番のときには、チーズトーストとヨーグルトにフルーツ、コーヒーくらいしか用意できない。

 華奈の様子に気づいて、颯真が近づいてくる。

「どうした?」
「え、なんでもない」
「なんでもないことないだろ。俺が華奈のことをわからないとでも思ってるのか?」

 颯真に顔を覗き込まれ、華奈は淡い笑みを浮かべた。

「ん……私が朝食当番のとき、あんまりちゃんとしたものを作ってないなって思って。そもそも火を使わないんだもん」
「あのね」

 颯真は椅子に腰を下ろし、華奈の手を引いて彼の膝の上に横向きに座らせた。

「俺はやりたいからやってるんだ。華奈がゆっくり寝られたらいいな、華奈が喜んでくれたらいいなって思いながらね。華奈が『おいしい』なんて言ってくれたら、もうそれだけですごいご褒美なんだ。俺は華奈にそんな悲しい顔をさせるためにやったんじゃない」
「颯真さん……」
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