口づけは秘蜜の味
「なんだ、コレは…」

ひらりと彼が出したのは先ほど置いてきた諭吉さんで…

「いえ、あの…そのお部屋代にでもと…」

神上さんは全く不機嫌を隠さずに、最高潮に不機嫌な顔で私を見た

「何?イヤだったのな?オレに抱かれんの」

「違、違いますむしろ幸せでって…あ、いえ…」

「だよな?あんなに啼いてたし…」

そ、そんな恥ずかしいことを大きな声で言わないでください…

「やめてください…」

「オレ、君を胸にだいて…すごく幸せな眠りについてたのに、起きたら居ないし、金は置いてあるし…あーもーわかんねぇ」

神上さんはガバッと立ち上がって私を抱き締めた

「とにかく無事で良かった…」

「ごめんなさい…そんなつもりなくて…でも…さすがにもう二人きりで会えません」

「な、んで?」

神上さんはスッと身体の動きを止めて私を見る


「…嘘、最後までついてください…夢だと思っていたいから…でも騙されたまま日陰の女になる気はありませんから」

(好きだけどさようならです)

婚約者さんと、お幸せに神上さん…

「日陰?え?」

身体を離した神上さんが……首を傾げて訝しげにこちらを見た

だから…意を決して話す……

「婚約者さんとどうか早く仲直りして…幸せになってください」

顔を見たら…きっと泣いてしまうから…下を向いて告げた

< 38 / 49 >

この作品をシェア

pagetop