鬼女と呼ばれた女王。
「泡鈴」

舜英が改まり服と姿勢を正して泡鈴を呼んだ。
その空気の変化を察した泡鈴も滅多に見ない真面目な表情で舜英と向かい合った。
二人の間に静かな静寂の時間が流れる。
何十分とたったように感じる数十秒の後、舜英が口を開いた。

「先ほど、父王陛下よりお呼び出しがかかりました。恐らく良い内容ではありません。大体の予想はついています。」

泡鈴は、息を呑んだ。舜英は潤蘭が無くなってから宮中で孤独。ただの一人も味方がいない。
それが分かってるからよけいに泡鈴は、舜英の言葉に動揺を隠せなかった。

泡鈴の動揺を見抜いたのか、舜英がフッと笑って少し力を抜いた。

「大丈夫。あなたには何も危害を及ばさないよう力を尽くします。泡鈴、今までありがとう。貴方に暇を与えます。次の職は出世できるようなものだと良いですね。」

舜英は、悲しそうに笑った。
泡鈴は、うつむいて何も言わなかった。いや、言えなかった。

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