あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
別れ

翔琉に過去を打ち明けてから、数日たった。

「お姉ちゃーん。髪の毛だけやってぇ」

寝起きの妹、海光が、まるでライオンのようにな姿でクシを持ってきた。

「はいはい」

朝食の調理を中断し、厄介なくせ毛のもとへ行く。
そうして、絡まった髪を少しずつとくことが、私と海光の日課だった。

「なんでうちはお姉ちゃんみたいにサラサラじゃないん?ほんま嫌やぁ」

そう私に問う海光は、まだ姉妹でないことを知らない。
もちろん、おばあちゃんも。

毎日見る海光の姿は、日に日にカクに似てくる。
この髪の毛以外は。

「いいじゃない。ふわふわで可愛いよ。自分が受け継いだ髪なんだから、大切にしないと」

カクのお母さんから受け継いだであろうこのくせ毛。
大切にしてほしい。
カクのお母さんの子供であった証。

「そうやけどさぁ。あれ?おばあちゃん今日は起きてないん?珍しいなぁ」

「ああ、おばあちゃん、ちょっと体調悪いんだって。はい、できた。ご飯よそって食べなさい」

「はーい!ありがと!」

その後ろ姿は、最近よくアニメでみる、ポケットからひみつ道具を出しまくる話のヒロインの子のようだ。

その二つに分けられた髪が、ひどいくせ毛を誤魔化せていて丁度いい。
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