あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

前を向いて


次の日、俺はそれほど地震の影響を受けなかった耐震性の強い高校に、普段通り登校した。

海光ちゃんとほぼ同時に家を出る前、「昨日のは前震かもしれないから、気をつけてね」と光希歩に念を押されるも、何度か小規模の地震があっただけで、無事帰宅することができた。

光希歩はずっと海光ちゃんのそばにいる。
いや、海光ちゃんが光希歩のそばにいてあげているのか。

海光ちゃんに光希歩を取られっぱなしで、昨日も一言も話せていない俺は、なんだかモヤモヤとした気分が胸のあたりを埋(ウズ)めく。

「なあ光希歩、ちょっと廊下で話、いい?」

「え、うん」

適当な言葉を並べて海光ちゃんから引き離し、廊下へと呼んだ。
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