あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

未来へ

◆◆◆

次の日。
約束通り、光希歩と二人で出掛けることになった。

無事、入試も終わり、卒業もした俺はまだかまだかと家の中をうろつく。

すると、光希歩は母さんに、何か小さな箱を手渡された。
淡いピンク色のリボンで結ばれた可愛らしい箱。

「これ、光希歩ちゃんの叔父さんから。誕生日とオーディション合格のお祝いやって」

光希歩は、細く白い小さな手で、リボンをスルスルほどき、その箱を開けてみると、中には真っ黒で薄っぺらい長方形状のものが入ってあった。

「これで、いつでも連絡とれるな。私の番号も入れといてなぁ〜」

見ただけでわかる。
最新型のスマートフォンだ。

「え…本当にいいんですか?私に?」

「いいって。本人以外の人が新規契約するには大変やのに、こんなサプライズプレゼントしてくれてんから。大事に使いな」

光希歩はその箱を大切そうに抱きしめた。
その後、色々と設定を行い、俺の名前も入れてもらう。
そこに『翔琉』と映った時は、どこかソワソワして、落ち着かなかった。
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